懐かしネットワークカメラ:Vivotek PZ6112
PZ6112は2008年頃にVivotek社(ビボテック)から発売され、当時としては画期的な10倍光学ズームを奢ったミドルクラスのPTZ式ネットワークカメラ。
画像のカメラは設置から8年くらい動作していた物で、ACアダプターを4回交換、ズーム機構のオーバーホールを1回ほど経験し底部土台が劣化か熱により脱落するまでトコトン使われ今年お役御免になった個体です、ギアは真鍮、映像素子はCCD、各コネクタもフレキではなくケーブルですからここまで長持ちしたのでしょう、ちなみに壊れた訳でなく今でも電源をつなげば問題なく動作します。
カメラとしては劣っている訳ではありませんがVivotekのネームバリューの無さ(海外では一級品のメーカーです)当時日本で主流だったパナホームのカメラ製品群に比べデザインは洗練されておらず「画質は低い」「携帯電話の配信機能がない」「英語のみ」など結局バリューだけがセールスポイントにしかなりませんでした、安いと言っても4万程度しましたから個人ユースを扱う大手コンピュータ周辺機器メーカーは見向きもせず、progressive systemsという会社がOEM販売したんですが、当時は満足なネット対応モバイル機器は少なくあっても性能が足りず市場が形成できなかったので案の定売れず最後には9800円程度で投げ売りされる可愛そうな運命を辿りました。
現在でも通用するほどメカニカルな部分は優れており、チルト・パン回転は今のスピードドームカメラと遜色いほど俊敏に動き、機械式10倍光学ズームはオートフォーカスに若干もたつきがあるものの正確にフォーカスできる優れもの、マイクも内蔵されカメラ周辺の音声を聞く事も出来ました。
カメラはCCDを使っていましたが当時のネット回線に合わせ基本320×240拡大モードで640×480と当時は高画質であり形式はMPEG-4/MJPEGと最新形式で配信できましたが、XP SP2以降ブラウザのセキュリティレベルが変更され、カメラ内臓ドライバソフトはセキュリティレベルを最低まで低下させてインストールする儀式が必要となりインストール後もMJPEGしかまともに再生できず、ブラウザは諦めてポート80を使えるCMSソフトで何とか運用出来ていた状態でした。
夜間撮影は赤外線LEDを使わずシャッタースピードを落として集光をあげるカラーナイトビューモードなので動体はどれほど低速でもブレブレで映らずノイズで動作検知が反応するなど夜間性能は悲惨で、さすがに考えたのか昼間と夜間で検知感度が変わる設定が付いていました、でも設定値が1つ違うだけで検知画像が山盛りできたり全く無かったりと運用スキルが必要でした。
各種ネット機能は、動作検知エリア設定、FTP、メール、DDNSなど今のカメラと遜色ない物が搭載されています。
PZ6112に似せたカメラは今でも発売されていますから外見だけでは古さを感じられないかもしれませんが、唯一異なる点は後ろのコネクタの多さかもしれません、今のカメラは少ない物になると電源コネクタだけで後は何もない物もありますが、当時はアナログ有線カメラとしても使えるようにCCTV用AV出力があったり拡声器用に音声出力があったり外部入力コネクタがあったりと華やかでした、確かアナログCCTVカメラとして使用する時用のカード型の赤外線リモコンもありました。
ネットワークカメラにCCTV機能を付ける事は当時どこのメーカーでもやっていた事ですが、実際のセールス現場でどの程度説得力があったんでしょうか。