ユニバーサルLCD TVコントローラボード で液晶TVモニターを修理する

 バイクリアボックスの記事内で少し触れた、電源が入らなくなった液晶モニター(LCD-DTV222XBR)をユニバーサルLCD TVコントローラボードを使って修理しました。
 派手に煙を吹いたり、液晶割れなら諦めも付きますが、電源ボードのレギュレーターが1つか2つ故障しただけで通電するとパソコンはモニターを認識する事から、電源ボードを修理するか交換すればまだ使える可能性が高く中古品か保守品・互換品の電源ボードを入手しようとしたのですが。
 地デジ対応TVモニターと言う事もあり出力ピンが多い特殊な電源ボードらしく同品を採用したモデルは少なく中古品の入手は絶望的なので、海外で保守品を探してみたら30ドル+送料必要でした、液晶モニターは過剰在庫で値崩れしており現在この金額ならあと数千円足せば箱潰れ、傷有のB級品・再生品になりますが新式のADSやIPSのLEDパネルが購入できてしまいます、仕事で使う為に急いでいたので特価品のADSパネルのモニターを購入したのですが、このまま捨ててしまうのは惜しいので以前から興味のあった「ユニバーサルLCD TVコントローラボード」で修理できるのか?検証してみました。

 2011年頃に購入した液晶テレビは故障してもおかしくない時期ですし補修部品の法的保存期間の8年を過ぎています、故障しても「部品が無い」と修理を拒否される事もある年式になりましたから「なんだか修理できそうな感じに故障した」時にご参考下さい。

◆液晶モニターを分解して液晶パネルの型番を確認します。
 液晶を整頓した広い机やテーブルなどに置きます。 液晶モニターの型番ではありません。
 特殊な業務用を除き現在の液晶モニターはボディ同士を爪で挟むはめ込み構造なので、スマホ分解工具や先を丸めたドライバーなどで爪を折らない様に気をつけて外装パーツを分解します。 基盤を覆う鉄製シールドがあれば外します、年式が新しいパソコンモニターは軽量化の為に液晶を支える鉄枠が必要最低限しかなくこの時点で液晶パネルの型番シールを見る事が出来ますが、LCD-DTV222XBRは構造が液晶テレビに近くノイズ対策を兼ねたスチールシールドが液晶パネルを覆っており型番シールを直接見る事が出来ません。 直接見る事が出来ませんが、小さなパンチ穴から型番シールの一部が確認できるのでメモを取りインターネットで検索します。 苦労して検索した結果、現在は液晶生産から撤退した台湾CMO(奇美電)社の「M-216H1-L01」液晶パネルが使われている事が分かりました。 液晶パネルの詳細仕様を www.panelook.com で確認します、特に液晶パネルのSignal Type とBackLight のタイプを注視します。(リビジョンの差でスペックが変わる事があります気を付けて下さい)
 M-216H1-L01の仕様を確認した結果、必要な物は…
 ◆2ch 8-Bit に対応しM-216H1-L01の動作確認が取れているユニバーサルLCD TVコントローラボード
 ◆LVDS 30Pinの液晶ケーブル
 ◆4コネクタのCCFL(冷陰極蛍光管)バックライトボード(CCFLを4本使っているので)
以上の条件を満たす、コントローラボード、液晶ケーブル、CCFLバックライトボードを購入します。
 到着まで数日は必要ですから、倒れたり踏んづけたりしない様モニターを仮組しネジ類は紛失しない様にパウチに入れて部屋隅や押入れで保管します。

 コントローラボードを購入する時は、分解して液晶パネルの品番シールを必ず確認してください、生産バッチやグレード、オプションによりWEBの分解記事とは違う物が搭載されている場合があります。
 パソコンモニターや液晶TVなら近年の物でもCCFL(冷陰極蛍光管)バックライトが使われていますが、ノートパソコンの液晶パネルはかなり古いモデルでもLEDバックライトが多く、LEDの場合はLEDバックライトボードを購入します。
 電源やバックライトは正常で「映像が乱れて映らない」の場合はコントローラボード、液晶ケーブルの購入だけで済みます。

◆ユニバーサルLCD TVコントローラボードを取り付け。
 M-216H1-L01液晶パネルに対応したユニバーサルLCD TVコントローラボードが到着しました。
 日本で手に入り易いのは V56 ユニバーサルLCD TVコントローラボード ですが、私はV53RL ユニバーサルLCD TVコントローラボードを購入しました。
 RGB、HDMI、コンポジット、音声入力・出力端子があり見慣れないPAL型アンテナ端子があり海外ではテレビ放送を受信できますがB-CASカード必須の日本では当然使えません。
 V56に比べ基板サイズが若干小さくなっていますが基本仕様は同じで基盤穴と出力端子レイアウトは同じです、V56/53/29ユニバーサルLCD TVコントローラボードは同じ外装パーツを流用できるようになっています、恐らくロットアウトの液晶パネルと有り合わせのパーツを組み合わせて極めて安価なノンブランドやコピーブランドの液晶テレビを作っているのでしょう。
 保管していたモニターを再度分解し、電源ボード、TVチューナーボード、液晶ドライバーボードなど基盤を取り除きます。 右上辺りにある液晶パネルのケーブルコネクタにアクセスできないので、面倒ですが更に分解して液晶パネルを取り出します。 液晶を取り出し既存の液晶ケーブルをV53RL ユニバーサルLCD TVコントローラボード用の液晶ケーブルへ交換できたので各ボードを接続し動作確認しますが、その前に…。 V53RL ユニバーサルLCD TVコントローラボードのジャンパーピンを www.panelook.com で確認した液晶パネルのVoltage Supolyに合わせます。(間違うと液晶が壊れます 液晶パネルのシールドは金属ですから厚紙を下敷きにしてショートを防ぎ、コントローラボード、CCFLバックライトボード、リモコン受光・設定ボタンボードを各接続しマスキングテープで動かない様に固定します。 初期状態のV53RL ユニバーサルLCD TVコントローラボードはファームウェアがインストールされておらず動作しません。
 付属CD又は購入店指定のURLからファームウェアファイルをダウンロードして接続する液晶パネルに対応したファームウェアを選びます。 使用する液晶パネルの品番名が付いたフォルダーを開き、L53BK.bin(V56の場合はL56) をUSBメモリーにコピーしV53RL ユニバーサルLCD TVコントローラボードのUSB端子にセットして通電します、動作LEDが赤緑の交互点滅を繰り返し1~2分以内に完了します。 使用する液晶パネル品番名が無い場合は、スペックが近いモデルで代用します。
 解像度とシグナルが同じなら液晶サイズが若干異なっても大丈夫みたいです。 液晶パネルが表示できてリモコンが反応するか確認します。
 海外のメジャー液晶パネルならよほど旧式でない限り対応ファームウェアが用意されており代用でも高確率で動作するので液晶ケーブルを間違って購入しない限り映らない事はないのですが、メジャーでない高級国産IGZO液晶などは対応していない物があります。

 液晶パネルとコントローラボードの動作確認が出来ました。
 このまま液晶剥き出しで使う事も可能ですが、子供が触ったり猫が突進しても支障がない様に元の液晶モニターのガワを切った張ったで綺麗に収めます。
 まず、ユニバーサルLCD TVコントローラボードとCCFLバックライトボードを固定する方法を考えます。 ユニバーサルLCD TVコントローラボードとCCFLバックライトボードを現物合わせしながら固定させる最適な位置を割り出し各ボードのネジ穴をシールドにマーキングしてドリルで穴を空けます。 コントローラボードにはパソコンのマザーボードを固定する金属スペーサーを使用しました、高さが合えば元の金属スペーサー外して流用すれば良いかと思います。
 CCFLバックライトボードは高電圧なので、リークしても大丈夫な様に金属ではなく既存のプラスチックスペーサーを流用しました。
 シールドにV53RL ユニバーサルLCD TVコントローラボードとCCFLバックライトボードを固定します。
 地デジ対応TVモニタなので無駄に豪華なSRS TruSurround XT対応スピーカーが付いており、ユニバーサルLCD TVコントローラボードにもスピーカー出力がありSRS対応なので接続します。(スピーカー非内臓の液晶モニターの場合は音声出力端子を使用します)
 スピーカー端子のコネクタサイズが違うのでコネクタを変更します。 +−が分からないので、黒をGとしました。 対応端子や小端子圧着工具を持っていない場合は、手っ取り早く音声端子コネクターに直接ハンダ付けすれば安く済みます。
 次は、コントローラボードの出力端子を外に出せる様に既存IOパネルを切り抜きます。 リューターでもグラインダーでも金属が削れるなら何でも良いですが、私はハンドニブラを使用しました。 コントローラボードの出力端子を抜き差ししても負荷が掛からない様にシッカリ固定できつつ既存穴の拡張は最小になる様にうまく切り抜いて下さい。
 私の場合パネルの切り抜き作業に1時間程掛かりました、作業時間の殆どが切り抜き作業です。 元のリモコン受光部スモーククリア部分へユニバーサルLCD TVコントローラボードのリモコン受光部ボードを配置し、再度動作確認して異常がなければ元通りに組み立て完了です。

 言語設定に日本語が無いのが残念ですが、HDMI接続のHDCPは失われておらずBDプレイヤーや地デジチューナーなどデジタル保護されたコンテンツの再生が可能です。 M-216H1-L01のファームウェアが無くスペックが近いM-215で代用した為なのかHDMI接続では映像のシャープさに欠ける所があるのでファクトリーモード(V53RL ユニバーサルLCD TVコントローラボードでは、メニュー・1・1・4・7)での設定調整が必要かもしれません。(設定値が膨大で門外漢には簡単ではありません) 改造・修理前と比べ少し軽くなり電源が12V4A程度ACアダプター供給となりましたので、屋内だけでなく自動車で運用が可能となります、カーモニターは大きくても13インチくらいですからミニバンやキャンピングカー・トラックなど車内スペースに余裕がある車両で大きなモニターが欲しい方はインバーター不要で使用できます。
 コンポジット入力はNTSC/PAL方式と4:3比率表示モードで表示できますから国内・海外のレトロゲーム機に対応します、HDMIコンポジットコンバーターを経由する必要が無いので便利です。

 V53RL ユニバーサルLCD TVコントローラボードはモニター機能の他にjpeg/MP3/MP4/H.264などの画像・音声・動画を再生できるメディアプレイヤーが内蔵されており、USBストレージ内のファイルを再生できます。 数十秒単位のスキップ機能が無いのでパーソナルでは使い辛いのですが基本的なフォーマットに対応しています、店舗のラウンジなら時間帯の客層に応じたUSBメモリーを用意して映像を流したり、美容室や歯科医院など個別のモニタがある場合は顧客に合わせた映像や動画を再生する事も可能になります、展示会ではモニター単体で再生させる事ができるので設営や撤収・運搬の手間が軽減するかと思います。

 日本は家電が安く販路も多いので古い商品を使い続けるこの手のDIY商品は一部の趣味人にしか人気がありませんが液晶仕様をちゃんと把握すればそれ程難しい作業ではありません。
 本記事はパソコンモニター修理を中心に構成しましたが、モニターだけでなくタブレットの液晶パネルも同様に改造する事が可能です、下画像は以前に改造したMSI Enjoy 10 Plus-029JPタブレットです、 バッテリーが膨らみOSがAndroid4.0ではタブレットとしての実用は難しくなっていましたが液晶パネルは10インチLEDバックライト 1024×768解像度なのでノートパソコンのサブモニター、設置作業の動作確認用モニターとして便利に使い倒しています。 社会人を数~数十年経験すれば「小さくて」とか「古くて」「遅くて」で使わなくなったが捨てるには惜しい液晶モニタ・ノートパソコン・タブレットが溜まっていると思います、 僅か数千円程なのでぜひ挑戦してみて下さい。

oosaka-bouhan

防犯ツールのインプレと販売をしています。 得意分野はネットワーク防犯カメラなのでカメラ多めです。

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