180/360度パノラマカメラは映像が荒いけど、どうして?
パノラマカメラを購入した方から、前のカメラと同じ720Pなのに画像が荒い(正確には汚い)のはどうしてか?と質問を受けたのでメモ代わりに記事にします。
ネットワークカメラを含むカメラの基本原理は、レンズが捉えた風景を平面に投影する事で映像を写し取ります、昔はフィルムで今はCMOSと呼ばれる光素子の上に投影しデジタル記録する事で行われます、ちょうどプロジェクターや学校の授業で使うスライドを反対にしたような仕組みになります。
◆通常のカメラの場合
丸がレンズが捉えた風景の範囲、四角がCMOS素子です。
レンズがとらえた風景の範囲はCMOSの光素子より大きいですからCMOSの全素子を使用し映像を構成しており無駄がありません。ただしレンズがとらえた風景は半分程度無駄になる事になります。
◆パノラマカメラの場合
パノラマカメラはその仕組み上レンズがとらえた風景をすべてCMOSの光素子にすべて収める必要がありますからCMOS光素子が長方形の場合は円の直径は必然的に短辺と同じ長さとなります、従ってパノラマカメラはCMOS光素子の一部分しか使えない事になります。
円の外側の光素子は何も映っていない黒1色ですからパノラマ化(立体化画像処理)の際には破棄されます。
図2が720Pの解像度だった場合、映像の構成に使われる解像度は720x720程度で後はスマホなどで再生時にすべて破棄されます、通常カメラの半分程度の解像度に2倍の風景を押し込んで映す事になりますから結果的に解像度が足りず映像が荒い訳です。
解像度が960Pの場合は縦解像度が720Pよりも大きくCMOSは正方形に近い訳ですから無駄になる光素子は少なくて済むので、パノラマカメラに向いた解像度であり、
960-720=240
1080‐960=120
上位解像度の1080pCMOSをパノラマカメラにしたとしても120pとコストの割に僅かな解像度しか向上せず実用的に960pと差がない割に映像処理・転送量の増加、録画データの増加など負担の方が多く、カタログ的なインパクト以外に意味がなく価格的なリーチが無い限りは、今の所960pが一番コストパフォーマンスが高いでしょう。
じゃあ「真四角のCMOS光素子を作って無駄が極限まで少ないCMOSを作ればいいじゃないか」と思われるかもしれんが、新たな解像度のCMOSを作るにはCMOS光素子の新しい製造ラインを整備し付随する処理チップも新たに制作する事になり初期投資に莫大な金額が必要となります、防犯カメラ市場で投資額を回収するのは不可能ですから、現時点では高解像度CMOSで不足する解像度を補う方法を取るベンダーが大多数です。