安物バッテリー電動工具のバッテリーパックを修理する(充電器必須)
当店では防犯カメラの設置工事や補修・DIYなどで電動工具を使用します、パワーが必要な外壁加工などは100Vの電動工具で行いますが普段は取扱いが簡単なバッテリー駆動の電動工具を使用しています。
工事を専門にするならマキタやボッシュなど一流品を使用するのが作業効率やリスク回避の面で良いのですが、設置工事は販売の延長なのと既存業者にIP・ネットワークカメラなどのネットワーク知識がなく設置工事のお手伝い的に呼ばれる事が殆どなので、一応揃えた工具は仕入れついでに購入したりECサイトのタイムセール・ジャンク品・中古店などで購入した安物がほどんどです。
一流電動工具の半値~10分の1程度の安物電動工具でも本体はそれなりに動きますし機能的には問題ないのですが付属バッテリーパックの品質が低く急に充電できなくなる事が多々発生します、購入当初は使えるが次に使う時は ”使えないし充電もできない” な残念な事が価格に反比例して起こります。
一流品は高品質で製造ロットの近い18650リチウムイオンバッテリーを組み合わせて製造していて同じような不具合が出るのは2~3年後の劣化が進んだ頃に発生するのですが、安物バッテリーパックの場合は検査落ちのB級品や製造不良・長期保存などの廃棄C級品を寄せ集めて作っていますので当たり外れがあり、良くて「半年程度しか使えなかった」悪いと「2回程度しか充電できなかった」となります。
タチが悪いと言えば良いのか悪知恵が働くと言えば良いのか「初めから使えない」なら返品できるのですが、少し違和感があっても初めは使用できるので個人DIY頻度の2回目にはAmazon全額返金期間の1ケ月は過ぎてしまっている所です。
◆安物バッテリー電動工具のバッテリーを修理する方法(B級品)
※以降は自己責任でお願いします、リチウムイオン電池はショートや加熱により爆発の危険性があり死傷・火事が発生した場合も責任は負いかねます。また記事は詳細を説明していません「意味が分からない」方は作業されない事をお勧めします。
バッテリーセルが製品検査に落ちたB級品だった場合は幸運で、複数のバッテリーセルの内数本がリチウムイオン電池の規定電圧3.7Vを維持できておらず充電基盤が「バッテリーが無い」「バッテリーが壊れている」として充電をカットオフしている場合がほとんどです。
画像のバッテリーパックはマキタ工具にも使える安物バッテリーパックです、2つ付属していましたが気づいた時には1個が充電不可能になっていました。 バッテリーパックを解体しバッテリーセルを取り出します。
バッテリーセルの並びをメモし各セルの電圧を測定します。
5本あるバッテリーセルの内2本は3.7Vでほか3本は1.2~0.5Vでした、僅かでも電圧があれば復活できる可能性があります。
リチウムイオンバッテリーを充電できる充電器を用意します(私は日本トラスト株式会社の My Charger Multi Liteを使用しています)充電器なら何でもよい訳で無く
①リチウムイオン電池対応
②完全放電バッテリーに充電可能
以上の条件を満たす充電器が必須です。
電圧が3V以下になっているバッテリーセルにテスターワイヤーを使って充電器とバッテリーセルを配線して3分程度充電します。
通常では充電を開始しない場合は各充電器の完全放電バッテリー充電機能を使って強制的に充電します(My Charger Multi Liteの場合は Revive ボタンを押します)
※バッテリーセルの状態に注意して下さい、充電開始時から指で触り「熱い」と感じるほど温度が上がった場合は直ちに充電を中止して下さい。 全セルが3V以上になった事を確認して、電動工具付属の充電器でバッテリーパックを充電します。 私の経験では強制充電で充電が開始できたバッテリーパックはその後は使える事が多いです。
恐らく効率化の為にセルの状態チェクや均一充電を行わず充電量が異なった状態つまり「セルバランス崩れ」のまま組み立ててそのままか動作チェックで少しだけ充電して出荷しているのでしょう。
安物電動工具のバッテリー充電基盤も安物なので全セルを監視しておらず満充電のセルが1本でもあれば充電終了にしてしまい充電不足のセルが暫く放置されてしまうと3V以下まで容量が減少してしまい充電不可になってしまうのではないかと推察しています。
◆安物バッテリー電動工具のバッテリーを修理する方法(C級品)
C級品の場合は不運です、当初から「他のバッテリーに比べて減りが早い」「充電の様子が他のと違う」など故障未満の症状がある個体が多い様に思います。
この症状のバッテリーパックが充電できなくなった場合は完全放電バッテリー充電機能を使っても充電できません、テスターで計測しても0Vになっておりセルが完全に壊れている事が多いです。
セル並びがシングルの2~3A容量のバッテリーパックなので使えなくなるだけで済みましたが並びがダブルの4~6A容量のバッテリーパックで同じ状態になったら生き残った1本に充電が集中する事になるのでかなり怖い事になるでしょう。
この場合は、充電できない18650リチウムイオンバッテリーセルを物理的に取り外し交換する必要があります。 取り外したバッテリーセルは他のセルに比べて「やけに軽い」「異様に古い」「錆びている」「振ると音がする」など明らかに不良と分かります、換装作業は切った張ったの物理作業なので難しくありませんが換装するリチウムイオンバッテリーセルやスポット溶接機も必要なのでそこまでコストを賭けるならもう一台同じ物を買った方が安上がりなので記事は割愛します。
日本で発売される安物バッテリー電動工具は何故かバッテリーが2個付属する物が多いのですが、バッテリー品質が低い事を販売側も分かっていて返品されにくくする工夫なんだと思います「1個壊れた」とクレームを入ってきても「もう1個送れば良い」と言う考えなのでしょう、BC級品の寄せ集めなら原価は500円以下でしょうし短期ビジネスなら悪い選択肢ではありません。
全ての安物バッテリー電動工具がこんな状態とは言いませんが多いのも事実です、リスクを考慮するならノーブランドの安物電動工具ではなく日本向けOEM品かホームセンターブランド品を購入される事をお勧めします。