iCSeeアプリ対応 双方向映像・通話コール機能内蔵 屋内カメラを解説します。

 ここ数年のネットワークカメラの進化は著しく、撮影形式・解像度・ダブルレンズなど映像処理、動体検知・ヒューマン検知、フェイス検知など検知技術、一部のカメラではAlexaやGoogle Homeなどスマートホームデバイス連動など驚く程の多機能化が進みましたが、更にネットワークカメラを進化させそうな「双方向ビデオ通信モニター内蔵ネットワークカメラ」が各アプリからリリースされました。
 以前から通話コールボタンでアプリがインストールされたスマホへプッシュ通知する「カメラは音声のみ、スマホ側は音声と映像」の偏った双方向通話が可能なネットワークカメラは存在しましたが、本ネットワークカメラはカメラ側にもモニターを装備する事で完全な双方向ビデオ通話が可能になりました。
 同じカメラが二台在ればカメラ同士のビデオ通話が可能となり、複数台の環境ではコール先をボタンで選択可能となります、コールボタンを押すだけで任意のデバイス間の双方向ビデオ通話が可能になりますからITデバイスに明るくない高齢者や入園前の幼児がおられる方にお勧めの「介護や育児に最適なネットワークカメラ+双方向ビデオ通話デバイス」と言うのがこのネットワークカメラのコンセプトなのですが、実際に使用してみるとそのコンセプトに反してソフト・ハード共に未成熟・未完成な部分が多く実用レベルに達していないデバイスの印象を強く感じました。

◆問題点は3つ

  1. Wifiが2.4GHzしか使えない事に起因するのかこのカメラの映像処理が特殊なのかわかりませんが、通話延滞が著しく実用的なビデオ通話ができない。
  2.  プッシュ通知を受け取ったスマホは常にアプリをバックグラウンドで実行する必要があり、プッシュ通知後に自動でアプリ起動されるが、他のアプリと同じく全面広告は表示されタップ操作が必要となり即応性に難がある。
  3. カメラ側のモニターには通話先の映像が表示されるが自身の映像は表示されず、通話先がカメラのレンズ方向を最適な方向に移動させる必要がある。

 など未成熟感が半端ない「使えない訳では無いんですけど使いずらい」と言う印象です、映像の延滞は有線LANか5GHz Wifiを搭載すればある程度軽減するでしょうし、アプリは双方向ビデオ通話カメラのみ広告を非表示にする処理か別途専用のアプリを用意すれば良いですし、レンズの方向はコールボタンを押した時に自動追尾機能が自動的にONになる処理を挟めば良いと思われるのですが、このカメラの実用に即したカスタマイズは何も施されない状態で双方向ビデオ通話機能のみ搭載したやっつけ感を非常に強く感じます。

 モニターはビデオ通話時に通話先のスマホカメラの映像と非通話時は動体検知と連動して日時とWifiインジケータを表示し無検知で表示OFFとなります基本的にこの2つのみで、録画データを表示したりカメラのインフォメーションを表示する機能はありませんタッチパネルでは無いので仕方ないのかも知れませんがコレだけ場所を占有しているのに単機能です。

 マイクはカメラ上部の上下回転部上の小さな穴の奥に配置され音声はそれなりに拾いますがそれなりです、スピーカーはモニター裏に配置されています音質はAMラジオ程度となります、特別なハウリング防止機能はなど搭載しておらず音量調整ボリュームも無いのでハウリングが発生したら止める手段はありません、上部にもスピーカー穴らしいモノがありますが放熱穴の様です部品を流用したのでしょう。

 このモデルだけかもしれませんが、カメラを手の届かない高所に設置した場合に使用するリモコンボタンが付属していました、機能的にはBluetoothスイッチらしくカメラとペアリングして使用します、カメラなどで使うBluetoothスイッチが使えるかどうかは持っていないので分かりません。
 ネットワークカメラとしては、W-LEDライト、ヒューマン検知、micro-SD録画、PT回転と通常の屋内用PT回転カメラと同等の機能を搭載しておりカメラ単体なら過不足なく運用できますが、何故かネットワークカメラ共通規格 ONVIFが省かれており汎用アプリ・ソフトでの使用や他社のアプリのNVRレコーダーでは運用できません。

 カメラ単体で双方向ビデオ通話ができるのは面白い機能だとは思うのですが実用で使える完成度ではありません、単純に双方向ビデオ通話ならスマホでLineでもZoomでも使えば良いですし、IT音痴の方ならモニタ付きAmazon Alexaを使えば音声命令で双方向ビデオ通話も可能になります、他に実用完成度の高いデバイスが沢山あるのに「わざわざコレを使う必要がある?」という結論に至り取扱いを断念しました。
 アイデアを即実行して製品化できる環境はスゴイし羨ましいと言えるのですが、機能だけ実現してもそれに伴う環境まで配慮しないと良い製品にはなりません。

oosaka-bouhan

防犯ツールのインプレと販売をしています。 得意分野はネットワーク防犯カメラなのでカメラ多めです。

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