映像がカスミの様に白くなった防犯カメラを修理
ネットワークカメラを含む防犯カメラ故障原因は電源劣化による動作不安定、パッキン劣化による浸水が一番多いのですが、最近急増しているのが「レンズの白化による映像の白濁化」です。
レンズをコーティングしている透明樹脂が紫外線で劣化し白化する事が原因です、レンズを使用している映像機器は原理的に防ぐ事が出来ない現象ではあるのですが2000年初頭の防犯カメラは屋外運用で10年程度の耐久性があったのですが、最近のカメラはコストカットの為なのかひどい物になると半年ほどで白化が始まり2年程度で画像の様な白化とボヤケで見るも無残な映像になってしまいます。
◆ネットワークカメラの白濁化を修理把握する&ワイドアングル化
この個体は AP2-POE、2021年に販売し4年間お客様の事務所で動作していたもので今月に入り原因不明の不調・故障で新機種へ交換させて頂いた物を廃棄で引き取った物で、故障要因の探る為に近い年代の廃棄・不良個体から流用できるパーツをスワップして再生しました、どうやらPOEから電力を取り出すコンバーター系の回路が壊れた様です、一応動作はするのですがレンズ劣化で微妙に映像の白化が始まっていました。
設置条件はブロンズポリカ屋根の下で雨に濡れる事は無いもののLEDライトの透明樹脂カバーの劣化加減からそれなりに日光に晒されていた事が伺えます。
映像の白化は僅かで恐らくCMOS映像素子まで劣化は進んでいないと思われるので、レンズ交換で元のクリアな映像に修理できるか試して見ます。(AP2-POE自体1080Pの旧機種ですから、修理の為にパーツを購入しするより現行の新しいカメラを買った方が性能的にもコスト的にも良い選択です、修理をお勧めはしませんあくまで修理守備碌としてご参考下さい。
画像では判り辛いのですが、レンズ表面にカビが生えた様な白い模様が見えます、レンズ自体はガラスなので劣化はしませんがミクロン単位の薄い膜でコーティングされており、この薄い膜の素材が安物だと数年で劣化が進行します、見た目でコーテイング材の品質など分かりませんし実際に使用しないと進行せず症状が現れた時は保証期間がとっくに過ぎている事になりますから、賢いですが陰湿なやり方ですね。
修理するには、レンズのみ交換するかIRカットフィルターを含め交換する必要があります、IRカットフィルタとは光センサーと連動してIR(赤外線)をカットするフィルタガラスを出し入れする機械で、日中は赤外をカットし夜間はカットしない仕組みです暗くなるとカメラから「カチカチ」を音がするアレです。
レンズのみ交換する場合は、IRカットフィルとレンズが接着されていますのでエナメル溶剤で接着剤を溶かし柔らかくして取り外します。
個体によっては接着剤が厚くエナメルに数十分浸さないと取り外せないかも知れません。(換気必須)
別途購入または、別の個体から取り外したレンズを装着したらカメラを動作させて、映像の焦点を手動で調整し接着剤などで位置を固定します。
Richer-R CCTVレンズ 1.8mmの170°広角 1MP ボードレンズ 1/3インチ1/4インチ CCDセキュリティ CCTVカメラ用
uxcell カメラIRISレンズ M12 115度 固定IRISレンズ 交換 セキュリティCCTVカメラ用 焦点距離2.8 mm
交換したレンズ次第となりますが、元の状態より全高が高い又は低くなってしまい「カバーガラスにレンズが触れる」「引っ込み過ぎて視野にカバーの丸い影が映り込む」事になりますから、スペーサーで丁度良い高さにカバー+レンズの高さを調整します。
防犯カメラのスペーサーは一般的に2mmですが、個体にっては筐体固定で調整できない物があります。 完成するとこの様になります、以前の白みが消えクリアな映像に戻りレンズも90度前後のF3.5から120度前後のF2.8の広角レンズに交換したので視野が左右上下に随分広くなっています、一応運用はできる状態へ修理する事が出来ました。
ただし、未使用在庫品と比べてみると僅かに白化しており、やはりCMOS映像素子上のコーティングも劣化していた様で完全に元に戻る訳ではありません。
◆ネットワークカメラの白濁化を修理失敗編
以前にコメントを頂いていた Laxihub W1バッテリーネットワークなのですが、私の個体もバッチリ白化しており修理を試みました。
Laxihub 防犯カメラ 監視カメラ 屋外 145°超広角 磁石スタンド 無線 電池式 高容量6700mAh 1080P IP65防水...
最近のネットワークカメラ高解像度・高機能化が凄まじくハード寿命より性能寿命の方が早いので性能寿命は二年程度で設定しるのでしょうか?昔に比べてパーツ単体の耐久性は確実に落ちていますね。
まあ、防犯カメラならそれでも良いのですが、M12のレンズは汎用品でメーカー純正の組み込みドライブレコーダーや家電のインターフォンにも同形状のレンズが使われています、それなりに耐久性が必要で構造的に交換も難しい物もあるのでメーカーの安易なコストカットでこの様な低品質なレンズが紛れ込まないか心配です。